植物と空気からできた新素材[プレアー]
技術
植物と空気からできた新素材[プレアー]
技術
PLAiRの主な成分であるPLA(ポリ乳酸: polylactic acid)は、植物の糖分からつくられており、PLAiRは、その99%が自然由来の成分でできています。
例えば焼却処理をした場合、焼却時にCO2を排出しますが、原料の植物は育つ過程でCO2を吸収するため、環境負荷の少ない循環を生み出すことができます。また、一定の環境下で水とCO2に分解されるコンポスタブル*2という特性をもっています。PLAiRは製品ライフサイクル全体におけるCO2排出量が従来のポリスチレンペーパー(PSP)に比べて32%削減されるという試算*3もあります。
また、焼却・熱回収の他にもコンポスト処理や再資源化するリサイクル処理といった新たな循環の実用化への取り組みも進めています。
*1 植物由来プラスチック(PLA)と天然素材のフィラー(発泡核剤)の使用割合。 *2 JIS K6953-2に準ずる、58℃・好気性微生物存在下で実証済。 *3 一般社団法人サステナブル経営推進機構〈SuMPO〉による試算。(重量当たりの算定。使用後は100%焼却を前提)
植物由来のPLAを超臨界CO2で発泡させたPLAiRは、使用後、工業的なコンポスト処理(インダストリアルコンポスト)により一定の環境下*に置くと加水分解が進み、その後、微生物により、水と二酸化炭素に分解されます。
リコーは、環境負荷の少ない処分方法の選択肢を増やすために、インダストリアルコンポストを活用した循環の仕組みについても、パートナー企業や自治体と連携し実証研究を進めています。
* JIS K6953-2に準ずる、58℃・好気性微生物存在下で実証済。
埋設前
32日後
60日後
90日後
※写真は、PLAiRの代表的なサンプルを用いて一定の条件下で実施された実験の例です。実際の製品とは異なる場合があります。
植物由来のPLAを超臨界CO2で発泡させたPLAiRは、発泡の制御技術により、柔軟性と強度を調整し、さまざまな用途に適応させることができます。また、発泡させることで、少ない材料でシートをつくることができます。
PLAはその特性上、発泡が難しく、化石資源由来樹脂などとの併用が必要でした。リコーは加工プロセスで超臨界CO2を利用し、混練工程でPLA中にフィラー(発泡核剤)を均一に分散させ、そのフィラーを核にすることで、PLAを発泡させることに成功しました。これにより、軽くて強いPLAiRを実現させています。
従来方式の課題
気泡径が大きく、ばらつきが大きい
超臨界CO2発泡制御方式
フィラーを均一に分散
フィラーを核に均一発泡
CO2に高温で圧力をかけると、凝縮せず密度のみが高くなり、液体並みの密度をもつ超臨界流体と呼ばれる状態になります。PLAに超臨界状態のCO2とフィラーを投入し、混練することでフィラーを均一に分散しています。この均一に分散させたフィラーを核にして発泡させています。
超臨界CO2を使ったPLAの可塑化状態(液状化)
PLAiRは発泡によってできた空気層により断熱性に優れています。PLAiRでつくられた容器に温かい食べ物を入れても手に伝わる熱を抑えることができます。また、保冷、保温にも適しています。
PLAiRは結晶化の度合いを制御することにより、優れた耐熱性を付与することができます。温度120℃・時間10分の耐熱試験においても、目視での変形が見られません。温かい食べ物へのご使用や電子レンジでの加熱*にも対応します。
* 100℃以下の食品。
耐熱試験 120℃オーブン41秒
左:PLAiR 右:発泡ポリスチレン容器