HUD(ヘッドアップディスプレイ)は、車速やナビゲーションなどの情報をフロントウインドウに投影するものです。
従来のカーナビゲーションシステムやメーターに比べ、ドライバーの視線移動を減らすことで、運転時の疲労軽減やよそ見による事故のリスクを低減するメリットがあります。
さらに、今後は車両に設置された様々なセンサーとの連携によるドライバーへの高度な注意喚起やAR*1技術の実現が期待されています。
そのような高度化するニーズに応えるため、リコーインダストリアルソリューションズは、複写機の開発・生産を通じて培われたリコーのレーザー描画技術、及び車載HUD用途で新たに自社開発した2軸MEMS*2スキャナー(図1)を用い、運転環境に埋もれることのない色彩表現でドライバーへの注意喚起を効果的に行うプロジェクションユニットを開発いたしました。
図1
レーザースキャン方式は、TFT方式に比べ、高コントラスト*3、かつ、広色域の色表現*4(図2)が可能であり、同じ輝度でもより明るさを感じやすい特性があります。これにより、注意喚起やAR表現の阻害要因であるポストカード*5の影響を軽減し、運転状況や人間特性を考慮した独自のアルゴリズムも活用することで、重要な情報を的確に伝達することができます。
図2
また、レーザースキャン方式特有の課題である画質と車載信頼性に対して、マイクロレンズ技術を応用したスクリーン(図3)と2軸MEMSスキャナーを内製で独自開発することにより、高画質・高信頼性*6を実現しました。
今後、2020年以降の量産開始に向け、製品化を加速させてまいります。
図3
*1 AR(Augmented Reality):拡張現実
*2 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):微小電気機械システム
*3 10,000:1以上
*4 NTSC比:190%
*5 TFT方式のHUDで、主に低照度環境時に見える、画面形状を反映したバックライトの漏れ光
*6 信頼性達成レベル:AEC-Q101相当