鹿児島県の南西、サンゴ礁の海に囲まれた沖永良部島。豊かな自然と温暖な気候に恵まれたこの離島は、いまや「脱炭素先行地域」として全国的に注目を集めています。
鹿児島県知名町と和泊町、一般社団法人サステナブル経営推進機構、そしてリコージャパン株式会社は、「ゼロカーボンアイランドおきのえらぶ」を提案し、環境省の「脱炭素先行地域」に選定されました。これにより、官民連携によるエネルギー転換の取り組みが本格的に始まっています。
島内では、太陽光発電や蓄電池、EV導入など、再生可能エネルギーの活用が進行中です。外部へのエネルギー依存から脱却し、自立したエネルギー体制を構築することは、災害に強く、環境にやさしい地域づくりにつながります。
自然と共に暮らす離島だからこそ実現できる、低炭素で循環型のライフスタイル。沖永良部島は、そうした未来の地域モデルを体現しつつあり、このような取り組みは、本土の都市部では実現が難しいスピード感と一体感をもって進められています。
沖永良部島を初めて訪れる人の多くは、美しい海とゆったりとした時間に心を奪われます。しかしその一方で、日本の離島が共通して抱える深刻な課題――ごみ処理の限界――が現実として横たわっています。
離島での廃棄物量は本土に比べて少ないにもかかわらず、輸送・処理コストは非常に高くつきます。たとえば処理施設を持たない小規模な離島では、すべての廃棄物を船で本土に運び、有料で焼却処理するケースも少なくありません。
また、観光シーズンには廃棄物の発生量が一気に増加し、現地のごみ処理体制に過大な負荷がかかります。
このような課題は、沖縄や長崎県の離島、東京都の小笠原諸島などでも共通して報告されています。一方で、本土の中山間地域でも、高齢化や人手不足により、ごみ処理業務の継続性が脅かされているのが現状です。
つまり、沖永良部島の課題は、離島特有であると同時に、日本全体の縮図でもあるのです。
リコーでは、このような「小規模・高コスト」な地域の廃棄物処理の課題を、資源循環の視点から再定義しています。
その中心にあるのが、リコーが独自に開発した「樹脂判別ハンディセンサー」です。これは、使用済みプラスチックの素材を瞬時に判別でき、従来のように人の経験に頼らず、高精度で素材ごとの分別を可能にします。
これにより、従来はプラスチックを含むさまざまな可燃物を混ぜて焼却していたものを、再生資源としての活用が現実的な選択肢となりました。
本土の工場やオフィスで培われたこの技術を、今度は地域の社会課題解決に役立てたい――その想いが、沖永良部島での資源循環のプロジェクトにつながっています。
離島で再資源化を進めるには、「処理物量の少なさ」が最大の障壁です。
リサイクル事業者にとっては採算が合わず、自治体にとっても輸送費の高さが負担となり、持続可能な仕組みづくりが困難になります。これは、全国の離島が共通して抱える「構造的な問題」です。
そこでリコーは、「異なる発生源のプラスチックごみを統合的に扱う」という発想に着目しました。
たとえば、海岸に漂着した海洋プラスチック、住民の日常生活から出る一般プラスチック、農業などの事業者から発生する産業廃棄物プラスチック。これらを一括で処理することで、一定の処理量を確保し、再資源化の効率を高めることができるのではないか――そう考えたのです。
このアイデアに、知名町の関係者も強く共感し、まずは現地の実態を把握するため、リコーと町が共同でごみの種類や発生状況、既存処理フローなどを詳細に調査することになりました。
次回は、今回の現地調査から明らかになった沖永良部島のごみの全体像についてご紹介します。どのような種類の廃棄物が、どのように発生し、どう処理されているのか――。離島が抱える“現場のリアル”に迫ります。
現状、多くの離島ではプラスチックを含むさまざまな可燃物を混ぜて焼却処分しており、再資源化できていません。
再資源化を進めるには、何が鍵となるのか。
さまざまな種類があるプラスチックを的確に分別できれば、再資源化の促進が可能になる。
そのお役に立てるデバイスとして樹脂判別ハンディセンサーを開発しました。
リコーの樹脂判別ハンディセンサーを使用すると、13種類の主なプラスチックを簡単に分別することができます。
日々さまざまなシーンで利用できるからこそ、しっかり正しく分別して再利用率を向上させ、環境にやさしい活用を進めていきましょう。
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