リコーの樹脂判別センサーは対象物に赤外線を照射しその拡散反射光を受光して樹脂判別を行っています。
(詳細は前回コラム参照)白色などの樹脂は拡散反射光を取得できますが、
下図のように透明樹脂の場合は照射した光が透過してしまうため拡散反射光を取得できません。
そこで透明樹脂を測定する場合は同梱されているリフレクション板を使用します。
下図のようにリフレクション板を使用することで入射光が透過せずにリフレクション板で拡散反射されるため透明樹脂を判別することができます。
リフレクション板は近赤外線を吸収せずにそのほとんどを拡散反射する材質、表面性状となっています。
また、柔軟性のある素材を使用していますので曲面状のサンプルにも沿わせて測定することが可能です。
実際の測定時には、写真のようにリフレクション板とセンサーで透明樹脂を挟み込むように測定します。
あるいはリフレクション板を机に敷いてその上に透明樹脂を重ねて測定することもできます。
リフレクション板はサイズの異なる2種類(大:5×5㎝、小:5×2㎝)が同梱されています。
測定しづらい透明なボトル形状のサンプルの場合はサイズ小のリフレクション板をボトルの口から内部に挿入することで測定が可能となります。
アプリの測定結果画面に光量ゲージがあります。
光量ゲージが2目盛以下の場合は赤色表示となり光量不足の目安となります。
光量ゲージが青色表示となるようにリフレクション板を使用してください。
※同じ材質の樹脂であってもメーカー、用途、グレードなどによって組成や添加剤含有量などが様々です。
センサーに初期登録されている13樹脂のデータでは正しく判別できない場合もあります。
その時はユーザー登録機能を使用してお客様の樹脂を登録することで判別精度を向上できる可能性があります。
例えば、透明なABSは透明ABSあるいはMABS(Methyl Methacrylate Acrylonitrile Butadiene Styrene)と呼ばれ、センサーに初期登録されているABSとは組成が異なります。
透明なABSを測定する場合は透明ABSをユーザー登録することで判別精度を向上することができます。
フィルムは厚さが薄く透明な素材が多いため普通に測定すると判別できない場合が多いです。
下図のように厚さが薄いとフィルムによる吸収が小さく樹脂特有の吸収をとらえることが難しくなります。
薄いフィルムを測定する場合は折り重ねて複数枚まとめて測定することでフィルムでの吸収量が増えて判別しやすくなります。
推奨の厚さとしては約0.5㎜(500um)程度で、フィルムの厚さにもよりますが4回程度折り畳んで測定すると安定した測定が可能です。
透明なフィルムの場合はさらにリフレクション板を使用することで測定が可能となります。
また、フィルム状サンプルをユーザー登録する場合は、ユーザー登録時と実際の測定時で測定条件を同じにすることで判別精度が向上します。
フィルムサンプルは表面に印刷があるものが多いですが、印刷のインクによって判別結果に影響がある場合があります。
黒い印刷部分は光が吸収されて反射光が戻ってこないため避けてください。
なるだけ印刷のない透明な部分を測定する方が判別結果は安定します。
また、アルミ蒸着フィルムは下図の様に折り重ねても厚さを稼ぐ効果が得られないため判別ができません。
樹脂判別ハンディセンサーは、透明樹脂やフィルムのような特殊な素材に対しても、適切な手法を用いることで確実な判別が可能です。
リフレクション板の活用やフィルムの折り重ね測定など、各種の測定テクニックを駆使して、あらゆる樹脂の特性を正確に把握しましょう。
プラスチックは現状リサイクル率が低く、また、リサイクルしたくても分別があいまいなことから、リサイクルしている多くがサーマルリサイクルになっています。
資源を枯渇させないためには、マテリアルリサイクルを行い、プラスチックとして再利用することが重要です。
どうすれば、マテリアルリサイクルを加速させることができるのか。
さまざまな種類があるプラスチックを正確に分別できれば、マテリアルリサイクルを加速できる。
そのお役に立てるデバイスとして樹脂判別ハンディセンサーを開発しました。
リコーの樹脂判別ハンディセンサーを使用すると、13種類の主なプラスチックを簡単に識別することができ、さらに最大100種類までのデータを登録してカスタマイズすることが可能です。
日々様々なシーンで利用しているからこそ、しっかり判別して再利用率を高め、環境にやさしい使い方をしていきましょう。
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