株式会社LIXIL
戸建住宅・マンションからオフィス・商業施設などの非住宅向けまで、多岐にわたる建材・設備機器と幅広い住関連サービスを手がけるLIXIL様。「LIXIL環境ビジョン2050」のもと脱炭素・資源循環型社会の実現に向けた取り組みを進め、2024年3月期のCO2排出総量は2019年3月期比で34.7%減を達成しています。玄関ドアやインテリア建材の生産を担う三重県の名張工場では、まずは木材のリサイクルに注力し、2020年4月に木屑廃棄物排出ゼロを達成。現在はさらに廃プラスチックのリサイクル・有価物化に向けて「RICOH樹脂判別ハンディセンサーB150」(以下、RICOHハンディセンサー)を導入し、活動を推進しています。
戸建住宅・マンションからオフィス・商業施設などの非住宅向けまで、多岐にわたる建材・設備機器と幅広い住関連サービスを手がけるLIXIL様。世界78ヶ所に生産工場を構え、150カ国以上で事業展開するグローバル企業です。今回の取材では、玄関ドアや玄関引き戸、インテリア建材などを生産している三重県の名張工場で環境活動を推進する「環境管理委員会」の5名の社員の方に、RICOHハンディセンサー導入の経緯や導入による効果をお伺いしました。
これまでの課題
PSやPPなど材質が明確な一部の廃プラスチックはリサイクルできていたが、ビートやプラダンなどの硬質プラスチックの大部分は材質が不明なため、混合プラスチックとして廃棄処分していた。
材質や材質ごとの重量を見える化できないため、製造現場に対して工程内での分別を促しにくく、リサイクルの意識を醸成することが困難。一次分別がなかなか進まなかった。
製造プロセスからだけでなく、オフィスから排出されるプラスチックの分別・リサイクルも進めたいが、材質が分からないことがネックとなり取り組みを進めることができなかった。
導入効果
RICOHハンディセンサーによってプラスチックの材質を判別でき、これまで廃棄していた年間200tの廃プラスチックのうち50tは有価売却のポテンシャルが高いことが判明した。
廃プラスチックに価値があると分かり、製造担当者のリサイクルへの意識が変革。各製品の製造工程内で一次分別する仕組みが生まれ、廃棄物削減の取り組みが加速した。
RICOHハンディセンサーは、必要な時にいつでも持ち運んで手軽に判別できるハンディタイプのため、オフィス用品など製品以外の廃プラスチックの分別も進んでいる。
社員インタビュー
技術課
課長
柳澤 稔 様
萩崎 勝洋 様
松浦 教子 様
インテリア製造課
細井 敬太 様
ドア製造課
山口 宏仁 様
名張工場では、技術課と製造課の社員20名からなる「環境管理委員会」を構成し、役職や部署の垣根を超えて資源循環に向けた活動を推進しています。一例として、製造工程からの発生量が多い木屑廃棄物の有効利用を目指して、バイオマス事業者認定の取得などの取り組みを進めてきました。その結果、これまで廃棄処理していた木屑を発電燃料としてリサイクルできるようになり、木屑廃棄物の大幅削減を達成できました。木屑で成果を上げたところで、次の課題として浮上したのが廃プラスチックの削減です。年間200tある廃プラスチックをリサイクルや有価売却につなげることを目標に、2024年から取り組みに着手しました。
PSやPPなど材質が明確なプラスチックについては、圧縮・溶融による有価売却や他工場との協業によってリサイクルできていましたが、それは全体の数%にとどまっていました。廃プラスチックのうち、割合が高いのが硬質プラスチックやビート、プラスチックダンボールなどです。これらは材質が不明なため分別ができず、混合プラスチックとして処分するしかありませんでした。
はい。製品に使用される素材なら図面から材質が分かりますが、製造プロセスで排出されるプラスチックには製品とは無関係のものも多く含まれますし、オフィスから排出される廃棄物も含めると、材質不明のプラスチックがたくさんありました。しかし、このままでは工場内に分別の仕組みを確立できず、各工程の担当者にもリサイクルの意識が根付いていきません。まずは材質を把握する必要があると考えて情報収集をしていた時に、展示会でRICOHハンディセンサーに出会いました。
ハンディタイプなので、ゴミステーションに持ち出して手軽に使える点です。アプリを入れればスマートフォンと連携して判別結果をその場で確認できることも魅力でした。「材質を知る」という目的を果たすには十分の機能が期待できると考え、ほとんど迷うことなくRICOHハンディセンサーの導入を決めました。導入前にオンラインで受けたリコーさんの説明も分かりやすく、戸惑うことはありませんでしたね。
まず最初に、ゴミステーションに環境管理委員会メンバー数人が集まり、コンテナに入った廃プラスチックの現状調査を実施しました。コンテナの容量は約100kgありますが、廃棄物をコンテナから出して大まかに仕分けをした後、RICOHハンディセンサーで材質を判別し、重量を測って分別するという一連の作業が約1時間で完了しました。判別自体がかなりスピーディーに行えて、かつその場で判別結果も確認でき、効率良く作業できました。現在も、材質不明の廃プラスチックが出てきた時は担当者がコンテナに出向いています。サッと測定できるので便利ですね。誰でも簡単に使えて、コツも要りません。
材質や重量を把握して一覧表にまとめてみると、PEやPVCなど有価取引のポテンシャルが高いプラスチックが7種類あると分かりました。量にすると約50tにのぼります。現在は材質ごとに売却先の選定と交渉を進めている最中ですが、売却ルートを確立できれば廃プラスチックの大幅削減の可能性も見えてきます。
これまでは「廃プラスチックをどうにか削減したい」という目的で活動してきましたが、価値あるものだと分かると、「資源を売る」という考え方に変化しますね。おかげで前向きに活動を進めることができています。
はい。最大の変化は、製造現場の各工程担当者の意識です。これまでは分別を促すための取っ掛かりがない状況でしたが、材質が判明したことで、今まで処分していたものにどれくらいの価値があり、今後どのように運用したいかを周知できました。その結果、担当者一人ひとりの意識が「分別する意味がある」と変化したのです。現在は製造プロセスの段階で廃プラスチックの分別を進め、まとまった状態でステーションに集まる仕組みができつつあります。材質によって「分別する・しない」の判断基準も明確になり、資源循環に向けた取り組みのスピードが一気に上がりました。
製造現場やオフィスから排出されるほとんどの廃プラスチックの材質が手軽に判別できるようになったので、製品の素材変更や突発的に発生する廃棄物の分別に役立て、有価取引につなげたいと考えています。
また最近では、他の製品を製造している近隣の事業部にもRICOHハンディセンサーを貸し出しています。全社的にプラスチックの廃棄量削減と有価物化を進めるために、私たちが先陣を切って活動を波及させていきたいと考えています。
LIXILでは、製品の素材を調達する際にも分別しやすく循環できるものを選択する動きが始まっています。排出したプラスチックが、一方通行ではなく再び同じ製品の素材として返ってくるマテリアルリサイクルの仕組みができるといいですね。入口から出口まで、資源循環に貢献できる工場を目指すことで、人びとが健康的な暮らしを送ることができる社会の構築をサポートし、地球環境を守り、次世代へとつないでいきたいと思います。
──ご協力ありがとうございました。
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