GPT本部 御殿場生産センター 第二生産室 生産四グループ 谷口英治 様
エトリア株式会社
株式会社リコーと東芝テック株式会社の複合機等の開発・生産部門を統合し、2024年7月に発足したエトリア株式会社様。国内外に15の拠点を有し、複合機やプリンター、その周辺機器の開発・生産事業を展開しています。
エトリア様の御殿場事業所は、全国で回収されるリコー製複合機のリユース・リサイクル事業の中核拠点。
前身であるリコー御殿場事業所時代より、30年以上にわたりリコー製の複合機やユニット、消耗品のリユース・リサイクル事業に取り組んでいます。
近年ではマテリアルリサイクルの推進をテーマに、産廃処理の対象にあった、拠点から排出される雑ごみに含まれる廃棄プラスチック(以下、廃プラ)廃プラの有価物化による廃棄費用の削減に着手。
有価物化に向けた材質判別の正確性を求め、リコーの樹脂判別ハンディセンサー(以下、リコーハンディセンサー)を導入されました。
今回は同センター第二生産室の谷口英治様に、リコーハンディセンサー導入の決め手や導入効果についてお伺いしました。
これまでの課題
一部廃プラの材質判別ができず、産廃処理コストが発生していた
材質判別の専門知識や技術がないため、リサイクル業者との買い取り交渉が難航していた
廃プラの有価物化が進まず、マテリアルリサイクルに対する取り組みの推進が難航していた
導入効果
廃プラの材質判別が可能となり、処理費用抑制と有価物売却益を合計して月間約9.4万円※1のコスト削減を実現した
現場での判別作業の標準化を実現し、リサイクルするプラスチックの品質が安定した
現場の環境意識やリサイクル活動へのモチベーションが高まり、積極的に分別に取り組む好循環が生まれた
社員インタビュー
GPT本部 御殿場生産センター
第二生産室 生産四グループ
谷口 英治様
エトリア御殿場生産センターが取り組むリサイクルサークル。2024年度は約12,000台の複合機を再生している。
2022年のプラスチック資源循環促進法の施行以来、マテリアルリサイクルの推進は製造業全体の重要課題となっていました。私が所属する御殿場生産センターでは、複合機の製造・再生工程の全域において、あらゆる場面から多種多様な廃プラが発生します。具体的には、部品を保護するビニール袋やエアパッキンなどの緩衝材、部品搬送用のプラスチックトレー、さらにはトナーが付着した部品など、その種類は多岐にわたります。これらは材質が様々で、見た目での判別が極めて困難なため、すべて雑ごみとして一括で産廃処理せざるを得ませんでした。そのため、会社が掲げるマテリアルリサイクルへの取り組みを十分に推進できていないという課題がありました。
当社では、以前から32項目の分別ルールを設けており、約50種類の素材をリサイクルに回していました。そのため雑ごみに分類されるものはそれほど多くはなかったのですが、低くないコストをかけて処理をするという事実は変わりませんでした。これはリサイクル率向上のボトルネックであると同時に、経営的な負担としてのしかかっていたのです。
何らかの形での資源化や処理コストの削減を実現したいという思いはあったものの、含まれている材質が分からなければ、リサイクル業者に買い取りを交渉することすらできません。価値があるかもしれないものを高いコストをかけて捨てているという状況にもどかしさを感じていました。
多種多様な材質を瞬時に判別するリコー 樹脂判別ハンディセンサー B150
課題解決に向けて動き出したのは、ちょうど法改正と同じ2022年の春ごろです。まずはトナー汚れのある部品を有価物化できないかと考え、分解や清掃の工程を見直して時間を短縮し、きれいにすることでリサイクルルートに乗せる活動から始めました。
その活動が一定の成果を収めた後、次のターゲットになったのが、分別されずにまとめて廃棄されていた雑ごみでした。この中に価値があるものはないのか、実態を掴むために相談を持ち掛けたのが、リコー内の専門部署である循環型ソリューション開発室です。彼らに解決策として提案していただいたのが、リコーハンディセンサーを活用した廃プラの分別でした。
当初はテストとして、循環型ソリューション開発室に廃プラの解析をお願いしました。その結果、これまで価値がないものとして産廃処理していたプラスチックの中から、有価物であるポリエチレンやポリプロピレンなどが次々と検出されました。さらにリサイクル可能な素材の発生量を分析したデータまで示していただいたことで、リサイクル業者との買い取り交渉を進められるようになりました。まさに雑ごみは宝の山だったと気づかされた瞬間でした。
リコーハンディセンサーの正式導入は、その直後の2023年度末に決定しました。今後も複数の素材が混在した雑ごみや、目視で判別が難しい素材が出てきたときに備え、リコーハンディセンサーを手元に置いておく価値が十分にあると判断しました。
導入を決定づけたポイントは3つあります。
第一に、操作の簡便性です。リサイクル業者は火であぶって素材を見分けることもあると聞きますが、我々にはそのような知識や技術はありません。専門知識がなくても、誰でも簡単かつ正確に素材を判別できる点は、弊社にとって非常に価値がありました。
第二に、客観的な根拠を示せることです。「これはポリプロピレンです」と機械がデータで示してくれるため、作業者が自信を持って分別に取り組めます。これは作業の標準化と品質担保に不可欠だと判断しました。
そして第三のポイントが継続性です。リサイクル活動は一時的なイベントで終わらせては意味がありません。日々の業務として定着させるためには、社内でいつでも使えるツールが必要でした。リコーハンディセンサーはこの3つの条件をすべて満たす、弊社にぴったりのソリューションです。
廃プラの有価物化により月間約9.4万円※1のコスト削減を達成。現場のリサイクル意識向上にも寄与
リコーハンディセンサー導入後の改善活動の結果、月間で約9.4万円※1という具体的なコスト削減を達成できました。これまでコストをかけていた産廃処理費用を抑制できた分と、新たに有価物として売却できるようになった分の合計です。特に大きな効果を上げたのが、月間約600kgも発生していた発泡ウレタンの処理です。これまで全量を産廃として処理していましたが、センサーでの材質確認を経て、廃棄コストでリサイクルできるようになったのは大きな進歩です。金額的なメリットはもちろんですが、廃棄物を資源として有効活用できるようになったことは、環境経営を推進する上で大きな一歩だと感じています。
現場での作業品質の向上に大きく貢献しています。「いつもと違うこの袋の材質は?」「この色のトレーは引き取ってもらえる素材だろうか?」といった、日々の作業で発生する細かな疑問や不安に対し、即座に明確な答えを与えてくれます。
リサイクルが難しい素材が混入してしまうと品質が低下してしまうため、正確な分別が求められます。リコーハンディセンサーがあれば、この重要な分別が誰でも可能です。口頭で「全部ポリエチレンだから大丈夫」と言うよりも、機械がデータで示してくれる方が現場の作業者も納得して作業を進められます。この客観的な根拠に基づく作業の標準化が進んだことにより、属人化を防ぎ分別品質を安定させられるようになりました。
また、リコーハンディセンサーによる分別の成果が社内に広まったことで、現場の従業員の環境意識やリサイクルへのモチベーションが向上したと感じています。これまで廃棄するのが当たり前だったごみの中に価値があることを、自らの手で発見できるようになったことで、より積極的に分別に取り組むという好循環が現場に生まれ始めていると感じます。
現在はイレギュラー発生時の確認用として1台を運用していますが、活用の幅はさらに広がりを見せつつあります。直面しているのは、複合機のモデルチェンジに伴う材質混在という新たな課題です。最近の複合機では、同じ外装カバーでも旧モデルが「PC(ポリカーボネート)+ABS」であるのに対し、新モデルでは「PCのみ」と、材質が変更されています。これらは再生方法が異なるため、リサイクル工程では厳密な分別が求められます。しかし、材質の刻印はカバーを分解しないと確認できないため、生産ラインの入り口での判別が不可欠です。この課題に対し、現在リコーハンディセンサー2台体制による分別作業の標準化と品質管理の徹底を図っている最中です。
正直に申し上げると、リコーハンディセンサーは我々にとってはオーバースペックな部分もあるほど高機能です。素材の登録機能や、登録データを活用した複合材の含有率分析など、豊富な機能を十分に使いこなせていません。もし機能を絞った廉価版モデルが登場するようなら、生産ラインごとに複数台を常設し、作業者がいつでも使えるようにしたいと考えています。そうなれば、さらなる作業効率化とリサイクル率の向上、そして現場の負担軽減が実現できるでしょう。
廃棄物処理コストの削減やマテリアルリサイクルの推進に課題を抱えているすべてのメーカーにとって、リコーハンディセンサーは心強い味方になるはずです。まずは一度、自社が排出するごみをリコーハンディセンサーで分析してみることをお勧めします。
──今後も廃棄物削減の取り組みにリコーハンディセンサーが貢献できるようにサポートしてまいります。ご協力ありがとうございました。
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